歯の健康に気を使って、毎食後ブラッシングしている人でも、どうしても歯ブラシが届きにくい場所や、汚れが溜まりやすい場所があります。歯垢染出剤を使ってみると、意外に口の中は汚れているのにびっくりしてしまったという経験を持っている人も多いのでは?
 磨きにくい面には、口の中にいつも生息しているさまざまな細菌のうち、歯の表面に付きやすい細菌が付着し、どんどん増殖します。この細菌に、飲食物に含まれるセルロースや唾液成分が混ざり合い、黄白色を帯びた蓄積物となります。これがプラーク(歯垢)です。これを長期間放置しておくと歯石となるのです。歯垢や歯石は、むし歯や歯周病の大きな原因となります。
 また、歯の表面には、常用しているコーヒーや紅茶のステイン(色素)や、タバコのヤニなどが付着して黄ばんできます。これらは、歯を磨いただけではなかなか落ちにくいのです。
 これら、歯の表面に付いた汚れや黄ばみを取り除くのに、まず用いられるのがクリーニングです。クリーニングにもさまざまな方法がありますが、プロの技術によってすみからすみまで徹底的に掃除を行うのが、PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)です。


 それでは、PMTCはどのような症状に効果的なのでしょうか。主なものを挙げてみましょう。

1歯周病の予防・管理
2重度歯周病の進行抑制
3むし歯の予防
4有病者・障害者の口腔管理
5治療及びセルフケアの動機づけ
6着色の除去
7かぶせた物のメンテナンス
8矯正中、矯正後の歯周病・むし歯予防などです。

 

 なお、このPMTCは、その人の症状によって異なりますが、1カ月〜6カ月くらいのサイクルで定期的に受診することによって、さらにむし歯や歯周病などの予防効果を発揮します。


 それでは、PMTCはどのようなステップで進められていくのでしょうか。基本的には、次の6つのステップに沿って進めていきます。

1まず、汚れている箇所の染め出しを行います。このことによって、磨かれていない場所を理解してもらって、今後のブラッシングに役立ててもらいます。
2次にフッ化物入りの研磨ペーストを注入するか、もしくは塗布します。
3プラスチックのチップで歯と歯の間の清掃・研磨を行います。
4柔らかいゴムでできたカップかブラシで、歯と歯の間以外の箇所を清掃・研磨します。
5研磨剤をきちんと洗い流したあと、歯と歯肉の溝を洗浄します。
6むし歯予防や知覚過敏の予防としてフッ化物を塗ります。

以上がPMTCの流れです。口腔内の状態にもよりますが、1回のクリーニングの所要時間はおよそ30分くらいです。
 先述しましたように、定期的なクリーニングを行うことで、予防が徹底され、口腔内の健康を長く維持することができるのです。
 ブラッシング指導を受けて、口の中を自己管理するという意識を強く持ち、それを実践することが大切なのは言うまでもありません。さらに、定期的なPMTCを行うことで、より予防を徹底させることができるのです。
「歯や口の中の健康は、まず予防から」です。あなたも、PMTCで口腔内の健康を維持しましょう。

●用語解説●
◆QOL
医療でめざすQOL(クオリティー・オブ・ライフ:質の高い生活)とは、患者を取り巻く環境ではなく、患者自身がいかに質の高い生活を送れる身体環境を整える治療ができるかということ。審美・矯正治療の場合は、口腔内の健康だけでなく、人前で自信を持って笑えるなど、メンタルな面も含めて考えていく必要がある。

 

加藤弘正院長

1989年九州大学歯学部卒業。HPI(Human Performance Institute)入所。1990年かとう歯科開業。APLO(Academy of Perfomance Logic for Oral Health)、一般臨床医矯正研究会所属。